ジェネリックとは?
ジェネリックとは?
ジェネリックとは英語でgenericと表記し、「一般的な」、「ブランドに囚われない」といった意味の言葉である。
その中でも、後発医薬品(こうはついやくひん、Generic drug)とは、成分そのものやその製造方法を対象とする特許権が消滅した先発医薬品について、特許権者ではなかった医薬品製造メーカーがその特許の内容を利用して製造した、同じ主成分を含んだ医薬品をいう。先発医薬品の特許権が消滅するとゾロゾロたくさん出てくるので「ゾロ」「ゾロ品」「ゾロ薬」等と呼ばれていたが、商品名でなく有効成分名を指す一般名(generic name)で処方されることが多い欧米にならって、近年「ジェネリック医薬品」とよばれるようになった。
■現状
他の先進国に比べ、日本では普及が進んでいない。普及を妨げる理由には安定供給がなかなか難しいというジェネリック医薬品メーカーの問題とジェネリック医薬品に対する医師・薬剤師の信頼不足がある。
後発品の普及は米国、英国、ドイツ、フランスなど先進各国で進んでいる。主要国の普及率(数量ベース)は、米国63%、英国59%、ドイツ56%、フランス39%、日本16.9%である。
現在、日本でも医療費抑制のため厚生労働省主導でジェネリック医薬品(後発品)の普及が進められている。具体的な動きとして、2008 年4月より処方箋の書式が変更になり「病気に対して処方できるジェネリック医薬品がない」「患者が新薬を望んでいる」など特別な事情がない限りジェネリック薬が処方されるようになった。この動きにあわせて各医薬品メーカーはジェネリック医薬品の積極生産へシフトしつつある。
■特許
新薬(先発医薬品)の開発には巨額の費用と膨大な時間を必要とするために、開発企業(先発企業)は新薬の構造やその製造方法、などについて特許権を取得し、自社が新規に開発した医薬品を製造販売することによって、資本の回収を図る。また、その新薬で得た利益を新たな新薬の開発費用として投資する。当然、特許の存続期間が満了すると、他の企業(後発企業)も自由に先発医薬品とほぼ同じ主成分を有する医薬品(=後発医薬品)を製造販売ができるようになる。
特許権の存続期間は、原則として特許出願日から20年の経過をもって終了する。しかし、新薬の製造販売の承認を得るには長期間を要するため、特許権を取得したにもかかわらず、対象となる医薬品の製造販売の承認が依然として得られないケースが多い。その場合、特許権の存続期間を最長で5年間延長できる。
先発企業は同一薬効成分に新たな効能・適用・結晶型などを発見することで特許権を追加取得したり、製剤・剤型を見直して効能以外の付加価値をつけるなどして、後発企業の進出に対抗する。
■日本での経緯
後発医薬品の普及率は、アメリカ、イギリス、ドイツなどの国では数量ベースで5割近くを占めるのに対し、日本では1割程度に留まっていた。これはブランド嗜好が強い国民性やパターナリズム(家父長主義)が浸透していた医療の現場において医師が、情報提供が少なく信頼性に不安を感じる後発医薬品よりも、長年の育薬に基づく豊富な情報が提供され、後発品に比べて薬効・供給量の安定している先発医薬品を処方した為と考えられる。
医療費に占める薬剤費比率は、上昇傾向の欧米諸国に対し、日本は薬価差(=保険請求価格−購入価格)削減により低下傾向を示し、既に仏・伊より低率となった。しかし依然、高めな理由は投薬の種類・量が多い為ではなく、先発医薬品の薬価が高すぎる為であり、経済産業省もこれを国際的に適正な額にまで引き下げれば、1兆5 千億円程度削減できる、との試算を発表している。
近年、急に後発医薬品であるジェネリック医薬品が注目されるようになったのは、バブル崩壊後の長引く不況の中、長年の放漫経営による健康保険財政の破綻に直面し、政府が少子高齢化を迎えての医療費削減を唱え、その一環として薬価の低い後発医薬品に着目した為である。
しかしながら、低価格な錠剤では先発医薬品との価格差が顕著に表れない例もあり、後発医薬品を普及させても軽減された負担と失われた信頼性が見合うのかどうか疑問が残る。
■ 処方箋様式
2006年4月より処方箋の様式が変更となり、医師が処方箋中の「後発医薬品への変更可」欄に署名(または記名押印)すれば後発医薬品に変更して調剤することが可能となった。しかし当該欄の利用頻度が伸びなかったため、2008年4月より、後発医薬品への変更が認められない場合「後発医薬品への変更不可」欄に署名する形式に再変更された。
日本にて後発医薬品が普及しない理由
・先述の生物学的同等性試験によって先発品・後発品の同等性は証明されているが、実際に使用した患者や医師からは、効果に違いがあるとの意見がある。その理由となる可能性として多く挙げられるのは、先発医薬品と製造工程が違ったり、添加物などの副成分が異なることである。このことにより、いずれも個人差はあるが、内服薬の飲み易さ、外用剤の剥がれ易さなどに違いが生じる場合がある。特に小児科においては、小児用内服薬の矯味(味付け)が商品により異なるため、商品を変更すると患児の嗜好によっては服用させること自体が困難になることがあり、切り替えには慎重を要する。
・向精神薬でも後発医薬品が存在するのだが、精神医療では先発医薬品と全く同じ成分でも、患者によって効いたり効かなかったりする。また精神医療の特殊性として、患者側の思い込みが激しい事もあり『この薬品名じゃなきゃ効かない』と思い込みが激しいと、たとえ同一成分で安価の後発医薬品でも、思う様な治療成績が上げられない。酷い時は薬効が全く効かない状態になってしまう。また、従来の向精神薬は副作用が出やすい為、副作用止め等の処方薬剤を処方箋に書く事が多くなってしまい、『多剤併用処方』(例として、旧来の抗うつ薬に錐体外路症状を抑えるパーキンソン病薬と抗ヒスタミン薬を処方するのが従来の処方法)にて、思ってもいない副作用が出てしまう。しかも、海外のグローバル製薬メーカー(グラクソ・スミスクライン、エフ・ホフマン・ラ・ロシュ、ファイザー、イーライリリー・アンド・カンパニーなど)がここ数年『副作用』を抑えた『新型』向精神薬や抗うつ薬を創薬し、日本にて医療用医薬品として承認された薬が沢山出回り始めた。後発医薬品は先発医薬品の技術や薬理学等、20数年前の技術をそのまま借用して製造した薬の為、海外の薬理学論文を読んだり、医薬情報担当者から説明を受け情報を知っており、旧来の向精神薬の問題点を熟知している医師側としても使いづらく、患者側も副作用や錠剤を沢山服用する点や、インターネットの普及により新型の医薬品情報が容易に手に入り、旧来の向精神薬の副作用を嫌という程知っているので嫌がる。又、最近の向精神薬に於ける先発医薬品の場合は主作用を維持したまま、副作用を旧来医薬品より大幅に抑えた製剤の為、副作用止め等の処方薬を処方しなくて済み、前述の『多剤併用処方』にならなくなる。そのメリットで副作用出現リスクが大幅に減り、薬剤の使用やレセプトの診療報酬が大幅に減る。結果として医療費抑制につながり、さらに障害者自立支援法による自立支援医療制度(精神医療)では、患者側の薬剤負担が1割(若しくは定額の自己負担額分)で済んでしまう為、後発医薬品に変えるメリットが(薬価単位でも)殆ど無い。なので、精神医療に於いては後発医薬品が発売していても殆ど普及しない一因になっている。
・後発企業の多くは準大手・中小企業であり、大手新薬メーカーに比べ、供給面での不安定さが指摘されている。
・後発医薬品の企業の医薬情報担当者(MR)の数が少なく、医師や薬剤師の情報収集の観点から不安の声もある。後発医薬品が発売される時期には、先発医薬品は発売後10年以上が経過していることが一般的であり、十分な副作用情報が蓄積されているが、後発薬特有の副作用が出現した場合には個別企業の対応に任されている。
・後発企業は先発企業に対抗するために薬剤の販売に大幅な値引を行うことがある。その結果、2年に1回の薬価改定では大幅な薬価の値下げが行われる。そこで、後発企業はさらに値引き販売をすることになり薬剤価格の競争均衡が実現され、消費者は需要と供給に基づいた市場価格で薬剤を入手することができるようになる。一方、最終的に採算が合わなくなった一部の後発企業は採算の合わない薬剤を販売中止してしまうことがある。過去には、1 ロットを製造した後、在庫が切れたら販売中止してしまうこともあった(通称 売り逃げ)。しかし、近年では、厚生労働省の指導により、売り逃げを行う企業には製造販売承認を与えないことになっており、新規申請においては状況は改善されつつある。しかし一部には、長期にわたり販売した製品を販売中止した例もみられる(ナシンドレン:辰巳化学、など)。また新薬メーカーの持つ特許を侵害し開発・販売すると、訴訟問題となり、結果製造中止や回収となる場合もある(セフジニル:大洋薬品、など)。
・同じ成分の先発医薬品と後発医薬品で効能・効果(適応症)が異なることがある。これは先発医薬品が有する用途特許が残っており、それが原因で同じ成分の後発医薬品がその効能・効果を謳えないことに起因する。なお、同一成分ながら患者の疾病に対する効能・効果を有していない後発品を処方または調剤した場合、不適切な薬剤を投与したとして、医療機関の報酬点数が減点される場合がある。この減点を回避するため、後発品の使用や変更を敬遠する医師も存在する。
・2008 年(平成20年)に行われた小規模な調査(医師600人、薬剤師400人)では、半数の医師が「後発品への変更不可」とした事があると答えた。医師が「変更不可」とした薬剤で最も多かったのは抗癌剤、次いで降圧薬、一方、薬剤師が「変更可」でも先発品を選ぶ薬剤で最も多かったのは向精神薬・抗うつ薬、次いで抗癌剤となった。その一方で、「後発医薬品への変更不可」の指示はオーダリングシステムによって誘導されているとの指摘もあり、日本ジェネリック医薬品学会ではこれを是正するための仕様書を公表した。
・2008年には、厚生労働省が生活保護世帯に後発医薬品を事実上強制する通知を自治体に出した(生活保護世帯は医療費を自己負担せずに公費負担となっているため)。従わなければ生活費の支給を停止するというもので、後に撤回することとなった。